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Undine

憎んだり愛したり忙しい

「貢献によって愛を勝ち取れ」

彼氏と別れた。直接の理由は、彼氏が私に嘘をついていたからだ。
「言わなかったけど、今合宿中なんだ…ごめんね」
私にとっては深夜3時の衝撃だが、文字にするとくだらない。でもただでさえ会う時間の少ないこの時期に、真実を言ってもらえなかったのは、間違いなく彼氏側から初めて示された拒絶であると感じた。

嘘がわかった瞬間、全身の血が逆流するような思いがした。そんなくだらない嘘なんてつかなくていいんだよ。もっと本音で向かってくれればいいのに、どうして嘘をついたの?そう問うた私に彼はこう言った。「いま就活中なのに遊んでるって怒られるんじゃないかと思ったから」。……なんだかその答えはひどく癇に障った。

私は彼氏の元に朝方3時半ごろ電話をかけ続け、合宿中で今周りに人がいるからという彼のラインに対して「自分がついた嘘の報いなのだから甘んじて受けるべきでは?」と返信した。
きっかり10回目の発信の時、彼氏はやっと電話に出た。無言だが震えた息の音だけはした。
彼は外にいるのだと言った。寒そうなのにごめんね、という言葉に対しても無言であった。

まず私に批判されると思って嘘をついたと彼は明かした。
そして私はその姿勢を厳しく糾弾した。いつもあなたはその場しのぎの嘘をつく。
何か問題があったときも話し合おうともしない。話し合って二人の向上につなげよう。あなたと成長するために、責任の所在を明らかにしようという時には「俺が全部悪いんだよ、ごめんね」と言う。

友人は何もわかっていない。こんなのは優しさなんかじゃない。拙い嘘、偽り、欺瞞に過ぎない。

「怒られるって何?」
「ええっと、あなたは私を母親か何かだと思ってるの?」
「あなたは宿題もやらずに隠れて買ったゲームボーイをしてるような気持ちで私に向かってるのかな」
小学生と話してるつもりはない、と吐き捨てると、ついに先ほどまではごめんなさいしか言わなかった彼氏が震える声で反撃に出た。
なんでも年明けあたりから私から心が離れてきている、と言うのだ。
虚しくなった。ブログの記録からもわかるように、私だって年明けあたりには彼氏との関係に限界を感じていたのだ。こんなにもはっきりと壊れていたのに、必死になって媚びたり甘えたりして直そうとしていた。全て無駄だったのだ。
甘えればなんとなく彼氏のことを好きになれたし、身体を差し出せば彼氏も抱きしめてくれたし、頭を撫でてくれたから。あたたかくて、とても愛されている気になれた。
ああまた裏切られた、と思った。虚しいなあ。あの人が欲しかったのも、やっぱり物分かりのいい女だったんだ。
更に突き上げるような怒りが私の胸を支配する。しっかりしていて甘えん坊の私のこと、好きだって言ってたのに。

もう頭が熱くなりすぎていて、何もかもがわからない。感情だけが有り余り、思考は全く機能していないはずなのに、舌はおかしなくらい饒舌に動いていた。所謂ひどいこと、をたくさん言ったのだと思う。

どうして誰もわかってくれないんだろう。本当しかいらないのに。真実しかいらないのに。どうしてみんな、本当は私のこと好きでもなんでもないのに嘘をつくんだろう。勘違いしちゃうじゃないか。やっと救われるんじゃないかと思っちゃうよ。やめてよ。
私は人一倍頑張らないと欠片も愛してもらえない。でも、頑張っても心の底からは愛してもらえないと今回またわかってしまった。


愛というのは、頑張って勝ち得るものではない、と別の人から言われた。自分が努力している手前、暗に相手にも努力を強いた私にも問題があると。
……意味がわからない。私は好かれるために努力をしてきた。でも頑張らないと私を評価してくれなかったのはあなたたちなのに!これ以上私の思考を乱さないで!
頭を掻き毟ると切りたての髪が数本抜けた。集まりから切り離されたものは、いつだってゴミになる。

様々な考えが頭で繋がっては千切れた。やっぱり私は出来損ないなんだと思う。健康な脳みそを持つ人は、きっと思考の糸も綺麗に結ばれて輪っかになってるはずなんだ。


大嫌い、嘘つき、裏切り者。あなたなんか本当は必要なかった、と言うと、何百回目のごめんね、が聞こえた。本当に、なんて冷たい言葉なんだろう。こんなことを言い慣れているなんて、すごく冷たい人なんだな。

本当は大好きだったのに、私はいつも相手を憎むことでしか孤独に決着をつけることしかできない。