Undine

憎んだり愛したり忙しい

何者

五月病です。もうすこし続く見通し。

NANIMONO (feat. 米津玄師)

NANIMONO (feat. 米津玄師)

私の身分証が、職場の保険証になった。
運転免許がないから仕方がない。私は、何者か名乗る時、職場に属する者である、とまずは言うことになった。


もう金融機関をひとつ任されるようになった。
家から異様に近いのもあるけど、職場に着くのがどんどん遅くなる。

でも、みんな、職場の人はとてもやさしい。辞めて欲しくない、長く続けて欲しいって日々言ってる。

検査でも悪かった体が少しでもよくなればいいと思って、心が少しでも安定すればいいと思って、彼氏だけに責任を負わせたくなくて。

そうやって服みはじめたピルの副作用で、今日は仕事を休んだ。


ただでさえ少ない有給を、1つ使ってしまった。バカみたいだ。良かれと思ったことが裏目にでる。みんなには良く作用する薬が、自分にはこうも合わないとは思わなかったよ。やだなあ。どうしていつも、マジョリティになれないのかな。マイノリティならなおさら、強くならないとだめだ。でもなんだかおかしい。1人の時、私はきっと強い。
1人で決めた店で1人でランチをしている時はあんなにも楽しいのに、人に囲まれてご飯となると、途端に箸が進まなくなって、胸が苦しくなる。

ああしかしどうして人がたくさんいるというだけで、こんなにも心がぐらぐらとよろめくのだろう。帰りたい、帰りたい、1人とか、2人とか、矢印がひとつしかない世界に帰りたい。ソーシャルやコミュニティというのが苦手だ。誰かが私という人間の印象を共有している、そういうはしご型ネットワークともいえる状況がどうも苦手だ。

1対1とか1対2で丁寧に向き合えばちゃんと結果につながっていた、講師業が懐かしく愛しい。あの時は、生徒のために、もしくはご家庭のために心を砕きさえすれば、評価された。今はよくわからない。
「言われた仕事を、"きちんと"やる」「品行方正にふるまう」の指す意味があまりに広範で、私の頭は容易にこんがらがる。

仕事をこなす。でも、それが果たしてきちんとしているのかはわからない。どうやって差異を出して、私なりの良さを出すというのだろう。でもそれだって考えるだけ無駄で、だって国家公務員なんだから、差異をつける働きぶりなんてする必要がない。一様に、きっちり、違わず、前例に沿って。きちんと、ってなんなんだ?

私が心から大好きだった生徒たちに想いを馳せる。今の仕事に愛はない。仕事の苦しみを正当化できるのはいつだって愛だ。
ああ、こんな回想、ポエティックすぎるな。思い出はいつだって美しいけれど、今までバイトを転々としていたなか、講師の仕事しか続かなかったのもまた事実だった。悶々とする。愛。


仕事場からは、何人かから体をいたわる電話がかかって来た。なんて優しいのだろう。いい職場だなあ。でも、優しくされて、どうしてこんなに涙が出るのだろう。きっと私はとてもわがままだ。

誰かがずっと私のこと見てる。仕事場のルール・規定を守らなければ早い話が法律違反。心配して私を見てる。閉塞感がすごい。ノイローゼになりそう。見ないで。私を見る視線を、共有しないで。


今日もこなす回議スタンプラリーに意味を見出せない。どんどん心が力を失っていく。
我々をまとめる偉い人をまとめるそのまた偉い人のその先にメディアにも出るあの人がいる。宇宙的だ。小さい私は小さく潰れる。小さい先輩も小さく働く。小さい我ら固まってかかわる、むしのさざめき。そんなものだよなあ。
やりがいを求めて就職したわけではない。だけど、外付けのやりがいが、もとめられる義務が、ノブレスオブリージュが。
世のために働くということがこんなにつらいとは思わなかった。
だってこんなに人の目は絡まって。それなのに「ああ、報われた、」と思う瞬間すらないなんて思わないじゃないか、ふつうに。苦しみもなければ報いもない。定期的に支払われる給与のために、機械のように仕事をしている。
人のためと世のためって、こんなにも違うんだね。


きっとやりがいを「お金」「安定」とかって割り切って、はっきり言えるようになればいいんだ。
わかってる、わかってるんだけれど。

こんなすてきな晴れ間を、水筒に入れたお茶を持って、散歩することができない。雇われるって、そういうことだ。
休みを自分で決められない、仕事を自分で決められない、そういうことがこんなにもつらいと思わなかった。


今の私は国家公務員だ。何者でもないわけではない。でも、それだけだ。きっと私は私であると定義できた学生の時分のほうが、ずっと生きやすかった。
仕事場に属する私ではなく、私の中の一部に仕事を設定したい。
こういうのもきっと勉強やスキルが必要で、だからなんとなく、勉強を始めた。結実の日がいつかはわからないけれど、こういう形でがんばるしかないよなあ。